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  • Cameron Allan Mckean

古い土を掘りだす|備前焼 3

, 2020/05/27

最近つくられた備前焼の鉢と数百年前につくられたものをくらべると、同じように見える。どちらも釉薬を使っておらず、表面がザラザラで、厚みがある。土の純度が高ければ光沢のある濃い色になり、どちらの鉢も土のなかからそのまま掘り起こしてきたように見える。けれども、昔のものと最近のものでは、土の取りだしかたが違う。「最近ではショベルカーで採土していますが、昔の陶工たちは手で掘っていました。備前の土はものすごく固いので、すごく大変な作業だったと思います」。樫本孝一が備前焼の土を掘りだした経験を話してくれた。建設会社を経営する彼だが、若いころ、備前焼を志し、自分には「陶工に必要な資質」が備わっていないことに気づいて諦めたという。代わりに、貴重な隠れた粘土層を探して土を採取する仕事に関わるようになり、現代の備前焼の文化に欠かせない存在になった。「最近では備前焼の良質な土はなかなか見つからないので、とても貴重になっているんですよ」 。備前焼の土がどれほど貴重か説明するために、樫本は私たちを地元の陶工の倉庫に案内してくれた。引き戸を開けると、床から天井まで土が山のように積んである。「これだけ粘土があれば、二世代は充分に使えるでしょう。けれども、陶工によっては、将来のために三世代以上が使える分量の土を備蓄している人もいます」。

どこに粘土が隠れているか、どうしてわかるのですか? と訊くと、樫本は答えた。「ご先祖の教えに従って探せば、粘土が見つかります。昔から言い伝えられている場所があるんですよ」。備前焼の粘土層はこの地域全体に広がっている。しかし、粘土層の場所を示した昔の知識には、ここ五十年間に起きた人口急増が織りこまれていない。車で走りながら、伊部にある「よい粘土層」の場所を教えてもらったが、いずれも上に集合住宅、線路、コンビニなどが建っている。備前焼の土が見つからないなら、新しい層を探すしかない。「良質な備前粘土は仕上がりの色合いの幅が違います。黒や灰色ではなく、もっといろんな色が出る。100パーセント純粋な備前粘土なら、本当に鮮やかな色が出ます」。

備前焼の土はおそらく世界でもっとも良質な土である可能性が高いうえ、発掘がきわめて難しいため、その希少性に拍車がかかっている。「もう新しい粘土層の採掘はしたくないというのが正直な気持ちです。あまりに大変な作業なので」。備前焼の陶工たちが手にシャベルを持ち、上を通過する新幹線の轟音を聞きながら、在来線の線路の下に眠る粘土を千二百年前の陶工たちと同じように手作業で掘り起こす――。そんな日がいつか来るかもしれない。

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