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  • Cameron Allan Mckean

陶器の偶像|備前焼 2

, 2020/05/25

屋根から伸びた赤煉瓦の煙突や、窯にくべる薪の山、耐火煉瓦工場の跡地を通り過ぎながら、伊部の町を歩く。藤原陶臣の家に着いたのは午後遅くのことだった。庭には犬が三匹、雄鶏が一羽、何羽かの鳥がいて、魚が入った水槽がいくつか並んでいた。工房には、ストーブの上で焼かれている鹿肉の獣じみた臭いが漂う。藤原は窓の側の回転いすに腰かけて、牛の上にまたがった男の像をつくっている。細部まで驚くほど精巧である。「ひとつの形、たとえばこの牛なんかを精巧につくるのは、それほど難しいことじゃない。一年もあればできるようになる。けれど、さまざまな形やスタイルを習得するのは並大抵じゃないよ」。

藤原陶臣は二十八歳のときから備前焼をつくりつづけている。細工物と呼ばれる人物や動物を象った焼き物を得意とする名工だ。昔は日常的に使う焼き物もつくっていたが、膝を痛めてからはろくろを使わない細工物ばかりをつくっている。細工物は神話に出てくる偶像を象った焼き物で、神社や寺、会社経営者などが好んで購入する。「若い人たちはこういうものに興味がないね。値段が高すぎるから」。上質で高価な土を使い、細工には長い時間と高い技術が必要なため、値が張るのもうなづける。彼は時間をかけて作業を進める。まずは足、次は胴体というふうに、下の部分から順番につくっていく。細工物はなかが空洞になっているため、土の厚みを均等に保つことになによりも気を使う。均等でなければ割れてしまい、何日分(もしくは何週間分)もの努力が水の泡になる。

藤原に案内されて隣の部屋に移ると、彼の作品がずらりと並んでいた。身をかがめ、奇怪な表情を浮かべた虎。巨大な龍の上に現れた観音像。象にまたがった老人…。備前焼の陶工はもともと、茶碗や湯飲み、すり鉢、シンプルなカップや小鉢など、日常的に使う機能的な食器をつくることに情熱を注いでいた。ところが徐々に芸術品として見られるようになり、十六世紀に入り茶道の茶器としての人気が高まると、備前焼は美しさを楽しむものであるという考えが社会に浸透した。藤原のつくる細工物はほとんどが偶像や、精霊や霊魂などの化身である。「以前、ある会社に依頼されて、亡くなられた社長の像をつくったこともある。その像のなかに社長の写真を入れて焼いてくれと言われたんだ。そうすれば窯のなかで写真が焼けて、その魂が土のなかに焼きこまれるからってね」。

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