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  • Photography: Evan Lin

くつろぎの”ホーム”、北投温泉

, 2015/12/17

台北に滞在しているなら、そのうちの半日でも北投にあてるといい。家庭料理に舌鼓の後は温泉に浸かってのんびり。市街地からちょっと離れてみるだけで、旅に大きな深みと趣きを与えてくれる。

台北から北投温泉へは、30分ほど。地下鉄MRTで北投へ、そこから新北投支線に乗り換えて、ひと駅だ。新北投支線は北投と新北投の2駅間を往復するだけ。つまり北投温泉に向かう専用電車であって、1kmちょっとの距離を低速度でのんびりと揺られる時点で「湯けむりの旅気分」がすっかり助長されてしまう。

新北投の駅前は、見慣れたコンビニや、ファーストフードの店が立ち並んでいることも手伝って、東京都下の町のよう。ペギーさんが「おはようございまーす!」と元気に声をかけてくれる。彼女は日本在住経験があり日本語が堪能だが、今は故郷で料理教室hoja kitchenを主宰している。挨拶もそこそこに「まずは市場に行きましょう!」と小雨のなかを歩き出す。台湾に来て1週間以上経つのに初めての雨だ。雨の多いこの島では珍しい。でも大丈夫。夜市で購入した藍白拖(台湾の国民的つっかけ)を裸足に履いて、地元の人よろしく、雨対応は済んでいる。

復興市場では朝の喧騒のなか、今日の教室で使う食材を買い求める。気になる食材があれば解説してくれたり味見させてくれたり、ローカルな人にローカルな場所へ連れていってもらえると、ただなぞる観光ではない、その場所の内部に入り込めたようで高揚する。

市場から歩いて数分の古いアパートの2階がhoja kitchenの教室だった。日本でインテリアデザイナーとして働いていたというペギーさんがご主人と一緒に「昔の台湾」をイメージしてつくり上げたそうだ。

この日のメニューは涼伴小黃瓜、百香果冬瓜、五味醤茄子、マコモダケのステーキ、牛肉麺に愛玉子。麺の生地を使って葱餅のおまけも。パッションフルーツと冬瓜の意外な組み合わせや、五香粉などのスパイス使いなど、台湾らしい家庭料理。それでいて、日本でも再現できるよう、代用食材などもきちんと説明してくれる。このあたりはさすが、日本語が話せるだけでなく、日本で暮らした経験があるからこそ。こちらの知りたいポイントを押さえてくれているのが心強い。デモンストレーションだけでなく、野菜を切ったり、粉をこねたりと、要所要所で手を動かせる体験型なのもいい。

グラスに台湾ビールを注いでもらって、できたての料理を頬張る。自分がつくった刈包だって、形の悪いのが却って愛おしい。竜眼や釈迦頭などの台湾フルーツと台湾茶をいただくころには、ティータイムふさわしい時間になっていた。さあ、お腹も満たされた。散策にでも出かけようか。

北投の温泉自体はドイツ人によって発見されたそうだが、温泉効果をはじめ旅館の開館など、温泉地としての価値をつくったのは日本人だった。日本が統治していた当時は、軍人が女性を伴って遊ぶ盛り場だったという。神風特攻隊の出陣前の接待所でもあったとか。

そんなわけで日本の影響も大きく、北投温泉は日本の温泉地のようだ。実際、公共温泉(現在は北投温泉博物館)、高級旅館(現在は北投文物館)など、日本統治時代にできた100年前の建築が現存するわけで、そこに漂う硫黄の香りと散見される温泉マークが加わると、もうほとんど温泉街の、あの感じ。ほどよいひなび方をしていて、同時に開放感もあり、アウェーかホームかといえば、気分は完全にホームの気楽さなのだ。初訪問の海外だというのに。

山のほうまで足を伸ばさなくても、新北投駅からすぐの北投公園のぐるりをそぞろ歩くだけでも十分、この温泉街を堪能できる。散歩道の脇の渓流からは温泉の湯気が上がっていてムード満点だし、たいがい酒店や飯店という名前がついている旅館やホテルには、たいてい日帰り温泉入浴のサービスがあるから、宿泊せずとも温泉の恩恵に預かるチャンスはいくらでもある。

あるいは、地元の人に交じって公衆浴場に行ってみるのもいい。皇太子御渡渉記念碑もある創業100年以上の瀧乃湯は、天然温泉のいわゆる銭湯。水着着用ではあるが、親水公園露天温泉浴池もおすすめ。段々畑の様相で露天風呂に芋洗い状態の人々を眺めるだけでも一興だ。売店のアイスキャンディの味にも太鼓判を捺しておこう。博物館や図書館などにも事欠かず、知識欲さえ満たしてくれる。半日でも大満足の、北投ショートトリップだ。

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name
北投温泉
place
台湾
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www.hoja-hoja.com
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