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  • Photography: Hiroshi Eguchi

地球アッチコッチ・ガイド『絶滅危惧の生きものたち、最後の光景』

, 2011/12/23

『銀河ヒッチハイク・ガイド』といえば、映画化までされたドタバタSFの名作だが、もとはイギリスのラジオ局BBCの連続ラジオドラマとして発表されていたものだそうだ。本作で一躍人気作家になったダグラス・アダムスを、今度は取材レポーターとしてBBCは起用する。取材の目的は絶滅の危機に瀕している動物を世界中に見つけにいくこと。少々不謹慎なにおいのするところを、抑えとして動物学者のマーク・カーワディンをパートナーに迎え、『銀河ヒッチハイク・ガイド』のアーサーとフォードよろしく、ふたりの珍道中がスタートする。

1985年、マダカスカル島に夜行性のキツネザルであるアイアイを探しにいったのをスタートに、88年から89年にかけて、インドネシアのコモド島の人を食べるといわれているコモドオオトカゲ、ニュージーランドの世界一太っている飛べないインコ、カカポ、中国の長江に生息する淡水の河イルカ、ヨウスコウカワイルカなど、その場所にしか生息しない希少な動物たちを探して世界中を旅した。

なにも知識がないからこそ気づくことができる動物たちのいきいきとした姿はすぐれたドキュメンタリーだし、税関職員の不条理な要求や、劣悪な自然環境のなかで奮闘する彼らの姿は、軽妙な文体と相まって胸踊る旅行記だ。とはいえこの本のすばらしさは、自然保護と破壊を同時に、しかも懸命におこなう人間の愚かさをからかうイギリス人らしいシニカルなジョークの合間に挟みこまれる、自然保護、動物保護の大切さを真摯に説く文章だ。そこでしか繁殖できない固有種を、人間を含む外来種のために消えゆくものではなく、世界の多様性として引き受けて「彼らがいないと世界が貧しく、暗く、寂しい」と言いきった彼の言葉は、20年以上を経っても変わらず、人間が動物を保護する最大かつ正当な理由だ。

これが見納め― 絶滅危惧の生きものたち、最後の光景
ダグラス・アダムス、マーク・カーワディン 著/ 安原 和見 訳
みすず書房 3,150円

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マダカスカル島
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