新絹枝が身にまとった藍色の着物の袂をたくし上げると、織り上がった布に日光が影を落とす。「その着物はお手製ですか」と私たちが訊くと、「終戦後はね、織物ができない人は何も着られませんでしたよ。着るものなんてどこにも »STORY
潮風が石垣の町全体に吹き渡り、3階の窓から入ってくる。木製の織機や、その前に座る女性たちの間を縫って吹き、別の窓から外へと抜け、パイナップル畑を通過して島の反対側の礁に消えていく。上原久美の視線の先には、布を織る女性たちの姿がある »STORY
八重山の女性は400年にわたって、織物を年貢として上納してきた。織りの作業は難しく、根気のいる仕事である。織物の原料となる天然繊維や植物染料は、山や、農地のなかを必死で探しまわって集めねばならなかった »STORY